英雄の妻に転生しましたが、離縁されるようです ~旦那様、悪妻の私を愛さないでください~
 アパートの入り口にある郵便受けから手紙類を取り出して、ぱらぱらと確認しながらうらぶれた廊下を進む。ちょうど自宅のドアの前に着いたとき、父宛ての一通のダイレクトメールに目が釘づけになった。

 差出人は『ニコニコ☆安心生活』とかいう名称で、なんの会社なのかよくわからない。中面が圧着されており、剥がさないと内容を見ることができないが、嫌な予感がする……。

 弾けるように玄関のドアを開け、居間でくつろいでいる父の前へと大股で歩いていった。

「香澄? お、おかえり……。どうかしたのか?」

 異様な雰囲気に怯えた様子を見せる父。そばにある卓上に、ハガキを叩きつけた。

「お父さん。今ここで、このハガキを開封して、わたしにも見せてくれる?」
「……」

 死んだ魚の目みたいに色をなくした父の視線が、一枚のハガキの上に落ちた。


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