英雄の妻に転生しましたが、離縁されるようです ~旦那様、悪妻の私を愛さないでください~
「大丈夫よ。ありがとう……」

 愛らしい生き物を抱き寄せ、そっと頬擦りすると、彼は鼻をぴすぴすと動かして、そのまま心地よい重さの体重を預けてきた。気を許してくれているのがわかり、とても嬉しい。

 温かくて柔らかいものを抱いていると、心が満たされてくる。
 安心してお腹もいっぱいだったせいか、なんともいえない眠気が襲ってきた。

「疲れたなぁ……まだお風呂……入ってない、けど……」

 心も体も、弱っているときには寝るのが一番。そして睡魔に襲われたとき、抵抗せずに流されるのはなにより気持ちがいい。

 中途半端な時間に目を覚ますことになりそうだと頭の片隅に思いながら、体のサインに身を委ねた。
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