義兄に恋してたら、男になっちゃった!? こじ恋はじめます

「あー! 私の王子様……また会いたい……」

 蘭がマシンガントークを繰り広げた末、最後にうっとりとつぶやいた。

 すでに一時間近く、ずっと優の話だった。
 彼がどれだけ魅力的で、どれだけ素敵で、どれだけ自分の心を掴んだか――延々と熱弁される。

 以前はお兄ちゃんや流斗さんに夢中だったはずなのに、今ではすっかり“優くん命”。

 一目見た瞬間、ハートを撃ち抜かれたらしい。

「話しかけたいんだけど、緊張しちゃって全然話せなくて……。
 でも、つい目で追っちゃうのよね」

 そう言う蘭に、私は納得した。

 そういえば、いつも視線を感じてたけど、あまり話しかけてこなかったな……。
 これが理由か。

「優くんってさ、ドストライクなのよ。
 あの儚げな感じとか、可愛いとことか。乙女心をくすぐるのよね〜。
 咲夜さんや流斗さんも素敵だけど……やっぱり、優くんだわ」

 蘭はどこか遠くを見つめながら、恋に落ちた乙女の顔をしている。

「ふーん、そうなんだ」

「そうなんだ、じゃないってば! 唯って優くんの従姉なんでしょ。なんか情報ないの?
 好きな食べ物とか、好みのタイプとかさ!」

 身を乗り出して、鼻息荒く詰め寄ってくる蘭。

 その勢いに押され、私は息を呑んだ。

 す……すごいな。
 こんなに優のことを想ってくれてたなんて。

 うーむ、罪悪感……。

 “それ、私なんだよ”って言いたい。
 でも、言えない。


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