義兄に恋してたら、男になっちゃった!? こじ恋はじめます

「ううん、いいよ。それだけ優のこと、本気で好きなんだね」

「……うん」

 恥ずかしそうにうなずく蘭を見て、胸が締めつけられた。

 私、蘭のことも傷つけてる。
 本当のことを隠して、騙して。

 もし、真実を知ったら、どんな顔をするだろう。

 信じてくれるだろうか。受け止めてくれるだろうか。
 ――怖い。

 それでも、言うべきなんじゃないか。

 このままじゃ、友情まで壊れてしまいそうで。

 意を決して口を開く。

「……あの」

「ねえ唯、私、優くんに本気なの。応援してね?」

 可愛い笑顔で言われ、出かけた言葉を呑み込む。

「優くんって、唯に似てるでしょ?
 私、前から思ってたんだ。唯が男だったらよかったのに、って。
 いや、変な意味じゃないからね? でも唯のこと、大好きだから……
 男だったら絶対惚れてた。だから優くんに出会えて、本当に嬉しかったの」

 蘭はキラキラした目で語る。

 その笑顔を見ていたら、もう――何も言えなくなった。

 本当のことを、伝える勇気が消えていく。

 この笑顔を壊したくない。
 失いたくないって……思ってしまった。

 それが、親友を欺くことになったとしても。

 そして、また私は嘘を重ねていく。
 彼女の笑顔を守ったつもりで。


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