義兄に恋してたら、男になっちゃった!? こじ恋はじめます
咲夜は私のお兄ちゃん。
まあ、義理の兄なんだけど。
小さい頃にお互いの親同士が再婚して、私たちは兄妹になった。
至近距離に迫る端正な顔。
心臓がドクンと跳ね上がる。
あ〜もう、ドキドキうるさい!
お願いだから鳴り止んで、私の心臓。
そう思えば思うほど、鼓動はますます激しくなる。
「どうした? 顔赤いけど、大丈夫か?」
さらに顔が近づいてきて――
も、もうダメ! 心臓がもたない……!
そう思った矢先、兄は突然目を大きく見開き、私の前からぱっと飛び退いた。
「お、おまえ、どうした!? え? 唯……だよな」
目を丸くした兄は、じっと私を凝視している。
え? 急にどうしたの?
わけがわからず、見返した。
「ちょっと来い!」
兄は私の手をつかみ、鏡の前へと引っ張っていく。
鏡を覗き込み、思わず息を呑む。
そこに映っていたのは――
「え? ……誰?」
鏡に映るのは、知らない男の子。
私が近づけば、その子も近づく。
動けば、その子も同じように動く。
ちょ、ちょっと待って。
これって……。
じっくりと鏡の中を見つめて、叫ぶ。
「わ、私ーーー!?」
驚きで固まった私の隣で、兄はただ呆然と見つめていた。