義兄に恋してたら、男になっちゃった!? こじ恋はじめます

 流斗さんが、改めて私の姿を見つめ、はっとしたように目を見開いた。

「一本取られましたね。でも、優くんの姿でもやっぱり危ないですよ。
 だって、唯さんは男でも可愛いですから」

 流斗さんは軽く笑って、私の隣に腰を下ろした。

 しばしの静寂が流れたあと、彼がゆっくりと口を開いた。

「咲夜から連絡があって。唯さんのこと、すごく心配してた。
 でも自分では行けないって……僕に頼んできたんです」

 お兄ちゃん……。
 あの傷ついた顔が、よみがえる。

 また、涙がにじんだ。

「唯さんの気の済むまで、お付き合いしますよ」

 流斗さんは優しくそう言った。
 そして、それ以上何も言わず、ただ隣にいてくれた。

 私は、自分の中のぐちゃぐちゃした気持ちをどうにかしたくて、ぽつりぽつりと話し出す。

「……私、もう、わけがわかんなくなっちゃって。
 気持ちの整理がつかないんです」

 言った途端、こらえていた涙がいっきに溢れた。

 声を押し殺そうとしても、嗚咽は止まらない。
 (せき)を切ったみたいに、涙が流れ続けた。

 流斗さんがそっと肩を抱き寄せてくれる。
 その胸に顔を埋め、私はただ泣き続けた。


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