義兄に恋してたら、男になっちゃった!? こじ恋はじめます

「へぇー、そんなことがあったんだ」

 蘭はポテトチップスをつまみながら頷いている。
 むしゃむしゃと食べつつも、真剣な顔で耳を傾けていた。

 ここは蘭の部屋。

 テーブルを挟んで、私たちは向かい合って座っている。
 目の前には、蘭が用意してくれたジュースとポテチが並んでいた。

 さっき「会いたい」とメッセージを送ったら、すぐに「OK! 家においで!」と返ってきた。
 この軽さが、今は本当にありがたい。

 大きく息を吸って、ぽつりぽつりと話しはじめる。

 兄の実の父親と、私の実の母親の間にあった悲しい過去。
 兄の複雑な気持ちを知ったうえでの、私の葛藤。
 そして流斗さんとの関係――それらすべてを、かいつまんで打ち明けた。

 語り終えると、しばらくの間、蘭は黙っていた。

「まあさ、人生っていろいろあるよね。
 知らないことのほうが多いし、知らないまま死ぬ人だってたくさんいるんだもん」

 そう言って、優しい笑みを浮かべる。

「今はさ、打ち明けられたばかりで混乱してるんだよ。
 もうちょっと時間が経てば、冷静に考えられるんじゃないかな」

 私は視線を落としたまま、そっと頷いた。

「うん……」

「話してくれてありがとう。そんな大事な話、勇気いったと思う」

 蘭は少し眉を寄せながらも、まっすぐに私を見つめてくる。
 その瞳には、心配と愛情がにじんでいた。

「蘭のこと、信頼してるから」

 本音だから、少し照れくさい。
 でも、気づいたら口にしていた。

 その瞬間、蘭に勢いよく抱きつかれた。

「唯ぃ~っ!」

< 233 / 296 >

この作品をシェア

pagetop