義兄に恋してたら、男になっちゃった!? こじ恋はじめます
「へぇー、そんなことがあったんだ」
蘭はポテトチップスをつまみながら頷いている。
むしゃむしゃと食べつつも、真剣な顔で耳を傾けていた。
ここは蘭の部屋。
テーブルを挟んで、私たちは向かい合って座っている。
目の前には、蘭が用意してくれたジュースとポテチが並んでいた。
さっき「会いたい」とメッセージを送ったら、すぐに「OK! 家においで!」と返ってきた。
この軽さが、今は本当にありがたい。
大きく息を吸って、ぽつりぽつりと話しはじめる。
兄の実の父親と、私の実の母親の間にあった悲しい過去。
兄の複雑な気持ちを知ったうえでの、私の葛藤。
そして流斗さんとの関係――それらすべてを、かいつまんで打ち明けた。
語り終えると、しばらくの間、蘭は黙っていた。
「まあさ、人生っていろいろあるよね。
知らないことのほうが多いし、知らないまま死ぬ人だってたくさんいるんだもん」
そう言って、優しい笑みを浮かべる。
「今はさ、打ち明けられたばかりで混乱してるんだよ。
もうちょっと時間が経てば、冷静に考えられるんじゃないかな」
私は視線を落としたまま、そっと頷いた。
「うん……」
「話してくれてありがとう。そんな大事な話、勇気いったと思う」
蘭は少し眉を寄せながらも、まっすぐに私を見つめてくる。
その瞳には、心配と愛情がにじんでいた。
「蘭のこと、信頼してるから」
本音だから、少し照れくさい。
でも、気づいたら口にしていた。
その瞬間、蘭に勢いよく抱きつかれた。
「唯ぃ~っ!」