義兄に恋してたら、男になっちゃった!? こじ恋はじめます
やさしさに満ちた場所で


「ただいまぁ」

 玄関の扉を開けると、そこはまるで別世界だった。

 天井から吊るされた電飾たちが、きらきらと輝き、まるで私を出迎えるように光っている。
 眩しさに目を奪われながら、そっと前方へ視線を移した。

 廊下の壁沿いには、小さな白いライトが連なり、やわらかな光で道を照らしている。
 足元には、可愛いサンタやトナカイのぬいぐるみがずらりと並んでいた。

「おかえりー!」

 突然、父がサンタの格好で登場。
 両手を大きく広げて、嬉しそうに駆け寄ってくる。

「おかえりなさーい。ケーキもチキンもあるわよ〜」

 その後ろからは、もう一人のサンタ――母が現れた。
 にこにこと愛らしい笑顔で迎えてくれる。

 毎年恒例の光景だけど、やっぱり父と母のサンタ姿はどこか現実味がない。
 童話のキャラクターみたいに見えちゃうんだよね。

 本人たちはノリノリだから……何も言えないけど。

「あはは……ほんと、楽しい家族だな、うちは」

 兄があきれたように私を見た。

「う、うん。とっても素敵な両親だと思うよ」

 もう、笑って頷くしかなかった。

 こうして、私たちにとって忘れられない、長くてにぎやかな夜が始まった。

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