義兄に恋してたら、男になっちゃった!? こじ恋はじめます
こじ恋しゅうりょう!大団円


 怒りのおさまらない兄をなだめながら、ようやく家へ戻ってきた。

 帰りが遅くなった私たちを、両親は心配そうに出迎えてくれる。

 とりあえず気持ちを落ち着けるために、食事をとって、お風呂もすませる。
 やっと一息つける頃には、自然と家族全員がリビングに集まっていた。

 寝る前の、いつものリラックスタイム。
 湯気の立つカップを手に、それぞれが各々の場所へ腰を下ろす。

 私は兄と目を合わせ、少しだけ息を吸い込んだ。
 ――あの男のこと、そして解毒剤のことを話さなきゃ。

 ひと通り話し終えると、両親は顔を見合わせて、ふっと嬉しそうに笑った。

「へえ~、よかったじゃないか。これでもう変身しないんだろう?」

 父が軽やかに言えば、母もにっこりと笑みを浮かべる。
 その期待のこもった眼差しを受けながら、私は苦笑いを返した。

「う、うーん。本当に変身しないのか、まだよくわかんないんだよね。
 解毒剤は飲んだけど、何にも変わった感じしないし」

 ため息まじりに答えると、母がどこか含みのある視線を向けてきた。

「唯ちゃんって、ドキドキしたときに変身するんだったわよね?」

 なにかひらめいたように目を輝かせる。

「うん……そうだけど?」

 私がうなずくと、母は嬉しそうに手を打ち、ぱっと顔を輝かせた。

「じゃあ、ドキドキすることしたらいいんじゃない?」

「え?」

 一瞬、空気が静まり返る。

 父が「そうだな、それで確かめられるかもな」と頷きながらも、首をかしげる。

「でも、ドキドキって……何をするんだ?」

 本気でわからないといった様子で考え込む父に、母がこそこそと耳打ちをする。

 すると、父が「えっ!?」と驚いた顔で、私と兄を交互に見つめてきた。

「いや、それはさすがに……」

 戸惑う父の腕に自分の腕を絡めながら、母がニコニコと私たちを見つめる。

「あ~私、なんだか眠くなってきちゃった。
 話はだいたい聞いたし、詳しいことはまた今度ね。
 今日はもう遅いし、疲れただろうからゆっくり休みなさい。おやすみ~」

 いつになく饒舌な母は、そのまま父を立たせ、ぐいぐいと引っ張っていった。

「え、ちょ、ちょっと待ってくれ!」

 父はわたわたと抵抗していたが、結局そのまま連れ去られていく。

 賑やかな声が遠ざかり、リビングはしんと静まり返った。

「な、なんだったの……?」

 私はただ、ぽかんとふたりを見送った。

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