義兄に恋してたら、男になっちゃった!? こじ恋はじめます

 昼下がりの屋上。
 やわらかな風が私と蘭の間を通り抜けていく。
 空を見上げれば、青がまぶしい。

 緊張する。私はふぅと息をつき、口を開いた。

 ――怪しい奴に薬を飲まされて、優になっていたこと。
 そして、今はもうその体質が治ったこと。

 ひとつずつ、言葉を重ねていく。

 蘭は目を丸くしたまま、じっと耳を傾けていた。

 言い終えた瞬間、私はそっと視線を落とした。

「蘭……黙っててごめんね。
 本当は、ずっと言いたかったんだけど。あなたの優への気持ちを知れば知るほど……悲しませたくなくて、言えなかった。
 騙すような形になってしまって、本当にごめんなさい」

 深く頭を下げる。
 蘭は黙ったまま何も言わない。

 沈黙が重い。

 いったいどんな顔をしているのか。
 想像すると怖くて、頭を上げることができない。
 ただ、必死に下げ続けた。

 ようやく、ぽつりと蘭がこぼす。

「唯……」

 おそるおそる顔を上げる。
 蘭は目を見開いたまま、呆然と立ち尽くしていた。
 その顔からは何も読み取ることができない。

 じっと見つめると、彼女が一歩踏み出し――
 いきなりぎゅっと抱きしめられた。

 柔らかな温もりに締め上げられ、息が詰まる。
 予想もしなかった展開に、目を白黒させる。

「ら、蘭?」

 戸惑う私を、蘭がまっすぐ見据える。
 その目はきらきらと輝き、頬はほんのり紅潮していた。

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