義兄に恋してたら、男になっちゃった!? こじ恋はじめます

 単純な発想を披露する兄に対し、流斗さんが冷静に否定する。

「そんなにうまくいくかな……。
 そいつが何かの狙いで唯さんに薬を与えたのなら、そう簡単にはもう姿を見せないかもしれない」

 ……確かに。
 あのクレープ屋に、そう都合よくまた出くわすとは思えない。

 私は深いため息をつき、肩を落とした。
 そんな私を励ますように、流斗さんが明るく声をかけてくれる。

「大丈夫、君にはたくさんの味方がついているから。
 お父さん、お母さん、咲夜、それに僕。ね、心強いでしょ?」

 流斗さんがウインクする。
 私は思わず、ふっと微笑んだ。

 本当に流斗さんは、大人で優しいなあ。

「おい、流斗。唯が男の姿してるからって、気軽にベタベタするなよ。
 中身は女なんだからな」

 なぜか、兄が急に口を挟み、私を引き寄せ抱きしめる。

 兄の温もりに包まれ、心臓が高鳴る。
 体が強張って、身動きが取れない。

 どんどん早くなる鼓動。
 あんまりくっつかれると、気持ちがバレちゃいそう……。

 兄に抱きしめられるのは嬉しいけど、どうしたらいいかわからなくて困る。
 いつも突き放すのも悪いし。

 それにしても――優の姿だと、兄との接触が増えている気がする。
 お兄ちゃん、なんだか積極的になってない? 男だと思って気が緩んでるのかな。

 よくわかんないけど。
 私の心臓、持つかな……。

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