義兄に恋してたら、男になっちゃった!? こじ恋はじめます
父に連れられ、私は理事長室へとやってきた。
ソファーに腰掛けると、父が温かいお茶を差し出してくれる。
湯気がふわりと立ちのぼり、ひと口飲むと、じんわりと心がほぐれていく気がした。
「それにしても驚いたよ」
父は私の向かいに腰掛け、目を細めて微笑む。
「まさか、急に元に戻るなんてね」
じっと見つめるまなざしは、どこまでも優しい。
――そう、さっきの発作で、私は元の姿に戻っていた。
偶然そこに父がいてくれたからよかったけど、もし他の誰かに見つかっていたらと思うと、ぞっとする。
今日は休みのはずの唯が、学ラン姿でいたら、きっと驚くだろう。
でも……どうして戻れたんだろう。
発作が引き金になった? けど、優になったときは、そんなことはなかったはずなのに。
考えが巡る中、休憩時間を知らせるチャイムが鳴った。
その音が鳴り終わるころ、理事長室の扉が勢いよく開かれる。
「唯!」
息を切らして兄が飛び込んできた。
「お兄ちゃん……」
兄は私を見つけるなり駆け寄り、ぎゅっと抱きしめる。
「心配したぞ! 授業中に父さんから連絡がきて……すぐにでも飛び出したかったのに、我慢したんだ」
そう言いながら、兄の腕にぐっと力がこもる。