義兄に恋してたら、男になっちゃった!? こじ恋はじめます

 授業中に連絡って、それアウトじゃない?と心の中で突っ込みつつ、
 抱きしめられたまま、ふっと肩の力が抜けるのを感じた。

 このぬくもりに、やっぱりほっとしてしまう。

「元の姿に戻ったんだな。よかった」

 兄は腕をゆるめ、そっと私を見つめる。

「う、うん。私もびっくりしてるの。ありがとう」

 見つめ合う私たちのすぐそばに、父が静かに立った。
 間に割って入るように視線を差し込み、穏やかに口を開く。

「咲夜くん、ちょっと落ち着こうか」

 兄ははっとしたように私から体を離し、気まずそうに隣へ腰掛ける。

 父も向かいのソファに腰を下ろし、軽く咳払いをしてから口を開いた。

「さて、なんで唯が戻ったのかはわからないけれど……。
 今の時点で分かっていることを整理しようか」

 その声に、私も兄も真剣な顔で頷く。

 普段はおっとりした父が、今はなんだか頼もしく見える。
 さすが理事長といったところか。

「唯の証言から推測するに――。
 唯が優になったきっかけは不明。ただし、唯に戻る時は発作が関係している可能性がある……と」

 父が淡々と整理してくれる。
 私は息をのんで父の言葉を待った。


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