義兄に恋してたら、男になっちゃった!? こじ恋はじめます

 そして、次の日曜日。
 今日は待ちに待った流斗さんとの初デートだ。

 私はウキウキしながらクローゼットの前で服選びに夢中になっていた。

「うん、これに決めた!」

 鏡に映る自分にニコリと微笑みかける。

 お気に入りの水色のワンピース。
 袖はふわっとしていて、首元は丸襟。ウエストのリボンをきゅっと結ぶと、自然と女性らしいシルエットになる。
 丈はひざ下で上品な印象。

 これを着ると、自分でもちょっと女の子らしくなれた気がする。

 流斗さん、気に入ってくれるかな。

「おまえ、鏡の前で何ニヤついてんだよ」

 背後から突然声がして、私はびくっと肩を跳ね上げる。
 慌てて振り返ると、いつの間にか開いたドアの向こうに兄が立っていた。

「もう! ノックしてって、いつも言ってるでしょ!」

 睨みつけると、兄はまったく悪びれる様子もなく肩をすくめた。

「はいはい。……で、時間、大丈夫か?」

 そう言いながら、部屋の壁掛け時計を顎で指し示す。
 視線を向けると、時刻は十時四十五分。

 やばいっ、あと十五分で約束の時間だ!

 服選びに夢中で、すっかり時間を忘れていた。
 駅前まで急げば、ギリギリ間に合いそう。

 私は慌てて身支度を整え、玄関を飛び出した。

「いってきまーす!」


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