上野原ユキという怪異についてご報告ください
私はガクガクと震える足を無理やり前に出して階段を登り始めました。
いけどもいけども終わりは見えない。
だけど立ち止まっていると転落してしまいそうな恐怖心がありました。

壁に手を這わせて一歩一歩全身するしかありません。
なにこれ。
なにこれなにこれなにこれなにこれ。
一体なにが起きているのか、見当もつきません。
そのうち息切れがひどくなり、メマイを感じ始めました。

過呼吸のため意識がスッと遠のいていくのを感じます。
ダメ……!
こんなところで気絶するわけにはいかない。
自分にそう言い聞かせてもそれでどうにかなるわけでもありません。
目の前が真っ暗になり、体がふわりと浮き上がる感覚がありました。
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