明治、一目惚れの軍人に溺愛されて
「お茶でも飲みますか。」

そう声をかけると、ようやく桐島中尉の腕が離れた。

「お願いしようかな。」

彼は素直に頷き、卓の前へと腰を下ろす。

私は棚から茶器を取り出し、急須にお湯を注ぐ。

茶葉の香りがふわりと立ちのぼり、静かな座敷に広がった。

「いいですね。」

桐島中尉の声が穏やかに響く。

「まるで……一緒に暮らしているみたいだ。」

「えっ……」

胸が熱くなり、思わず手を止める。

彼の視線が私をまっすぐに捉えていた。

その眼差しに耐えきれず、私は小さな声で問いかける。

「あの……どうして私を?」

次の瞬間、桐島中尉の手が伸び、そっと私の髪に触れた。

指先が頬にかかる髪をすくい上げる。

その仕草があまりに優しくて、息を呑む。

「美しい人だからです。」

彼は微笑んだ。

「気づいたら、あなたばかりを目で追っていた。だからもう、答えは決まっているんです。」

その言葉に、胸がじんわりと熱くなり、茶器を持つ手が震えた。
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