明治、一目惚れの軍人に溺愛されて
そうして私たちは、自然と会う日が多くなっていった。

最初は一週間に一度のはずが、気づけば週に二度、三度と――。

茶屋の女将さんも、すっかり私たちを見慣れたようで、にこにこと温かく迎えてくれる。

「まあまあ、今日もいらしたんですね。」

女将さんのそんな言葉に、私は顔を赤らめて俯いた。

けれど桐島中尉は落ち着いた様子で、当たり前のように隣に腰を下ろす。

畳の座敷に並んで座り、お茶を飲むだけ。

けれど、その穏やかな時間が、私には何よりも幸せだった。

ふと、彼が私に身を寄せて小さく囁く。

「俺たち……もう、恋人同士に見えるかな。」

その言葉に、胸がぎゅっと掴まれた。

彼にとっては、ただの冗談めいた囁きなのかもしれない。

けれど私には、心の奥を見透かされたようで――頬が熱くなってしまう。

「……どうでしょう。」

かすかな声で答えると、彼はにこっと笑って、私の手をそっと握った。

その瞬間、茶屋の静けさの中で、私の心臓の音だけがやけに大きく響いていた。
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