明治、一目惚れの軍人に溺愛されて
「まあ、一度は会ってみることだよ。」

父はそう言って、珍しく柔らかい笑みを浮かべた。

「……お相手は、どんな方なのですか。」

声を震わせながら問うと、父は盃を手に取り、ぽつりと告げた。

「帝国軍人だと聞いている。」

「……帝国軍人……?」

耳に届いた言葉に、思わず息を呑んだ。

――志郎さんと同じ。

胸がどくんと鳴り、心臓の音がやけに大きく響く。

まさか、そんな偶然があるのだろうか。

けれど、父の口ぶりからは詳しい名前は分からない。

「とても真面目で、誠実なお方だそうだ。」

父は淡々と続ける。

「雪乃、おまえにとって悪い話ではないと思う。」

私は膝の上で拳を握りしめた。

志郎さんと同じ軍人……それが彼であることを、心の奥で必死に願っていた。

「……はい。」

小さく返事をしながらも、胸のざわめきは収まらなかった。
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