この恋を運命にするために
信士さんの言いたいことがわからず、黙って水餃子を食べて聞いていた。
「単刀直入に聞きますが、君の目的はなんですか?」
「目的?」
「満咲というパイプが欲しいのですか? 千寿流が財産目当てとは考えにくいのですが」
「ちょっと待ってください! 目的なんてありません」
思わず口に入れた水餃子を吐き出しそうになったが、全部飲み込んだ。
「私は信士さんが好きなんです。それだけです」
「初対面の人間を好きになれるものですか?」
「いけませんか」
「いえ、理解に苦しむだけです」
信士さんは飲茶を一口飲んでから、淡々と語り始めた。
「前にも話しましたが、警察官というのは時に恨みを買うこともあります。ですが満咲は買いやすい、なんてものじゃない。代々国内警察の中枢を担ってきた一族です。命を狙われるなんてこともザラにある」
そういった信士さんの瞳はとても冷たい瞳をしていた。
「満咲に生まれたら宿命のように警察官になる、それは自分自身を守るためでもあります。しかも私は本家の長男、人付き合いにはどうしても慎重になるんですよ」
信士さんは出会った時から穏やかで柔和な人だと思っていたけれど、その優しげな笑顔にどこか踏み込ませまいとする壁を感じていた。
それは誰のことも信用できないからなのかもしれない。