この恋を運命にするために
というわけで信士くんとの待ち合わせ時刻まで、同じホテルの中にあるカフェで時間を潰すことにする。
元々着物だから下手に移動して着崩れするのが嫌だったし、ちょうど良い。
念のため信士くんに「ホテル一階のカフェにいるから着いたら連絡してください」とメッセージを入れておいた。
これでレストランまでも一緒に行けるし、安心だと思う。
信士くん、早く会いたいなぁ……。
コーヒーを飲みながら読書してのんびりしていると、ピコンと通知音がした。
《17時50分頃ロビーに着きます》
信士くんからの一言メッセージだけで胸がきゅうっとする。
思わずにやけながら「気をつけてね」と返信した。
ハートマークをつけようか迷い、笑顔の絵文字を添えておいた。
好きな人にハートつけて送るってすごく照れ臭いのよね。
気持ちがダダ漏れているみたいだから……。
信士くんはあと十分程したらやってくる。
来る前にお化粧を直そうと思い、先にカフェの会計を済ませた。
お手洗いに行って着付けを直し、メイクと髪型も整える。
変じゃないかな? 大丈夫だよね?
鏡の前で後ろ姿まで念入りにチェックする。
もうすぐ会えるんだ、と思うと嬉しさと緊張でドキドキしてしまう。
「――蘭ちゃーん!」
私の名を呼ぶ声は、待ち焦がれていた想い人ではなかった。
「……八代さん?」