皇太子に溺愛されすぎて、侍女から公爵令嬢になりました
そして私は、決まって自分の湯浴みを済ませてから、柔らかなナイトウエアを羽織り、セドの部屋を訪ねるようになった。

(侍女でよかった……)

そんな思いが胸をよぎる。

侍女頭の許可を得ずとも、皇太子殿下の部屋を訪ねることができるのは、私だけの特権だから。

「皇太子殿下。」

静かに扉を開けると、そこには既に私を待つ彼の姿があった。

「エリナ。」

セドはすぐに立ち上がり、両腕を大きく広げる。

「よく来てくれた。」

その声は安堵に満ちていて、私の胸に温かさを広げた。

次の瞬間、彼の強い腕が私を包み込む。

「殿下……」

頬を胸に押し当てると、彼の鼓動が規則正しく響いてくる。

その音に、日中の疲れも迷いも、すべてが解けていくようだった。

――侍女であることが、今は何よりの幸せ。

けれど同時に、それ以上を望んでしまう自分が怖くもあった。
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