皇太子に溺愛されすぎて、侍女から公爵令嬢になりました

第6章 溺愛の告白

それからというもの、セドは湯浴みの番に必ずと言っていいほど私を指名するようになった。

「今日の湯浴みの番、またエリナ?」

「よっぽど気に入られているのかしら……」

侍女仲間たちのヒソヒソとした噂話が耳に入る。

胸がざわめくが、否定することもできず、ただ殿下の傍に仕えることを選んだ。

湯気に包まれる浴室で、私は彼の体を拭い、バスタオルで丁寧に包む。

その時間は誰にも邪魔されない、私と殿下だけのひとときだった。

そして――決まって最後に、セドは低い声で私を呼ぶ。

「エリナ。」

思わず振り返ると、彼はバスタオルに身を包んだまま、私を真剣に見つめていた。

「今夜も……来てくれるか。」

熱を帯びた瞳に、心臓が跳ね上がる。

「……はい。」

かすれる声で答えると、セドは満足そうに微笑み、そっと私の手を取った。

――噂されようと構わない。もう、私は殿下のもとを離れられないのだから。
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