「明治大正ロマンス ~知らない間に旦那様が変わっていました~」
 でも、なんか今、毎日、ちょっと楽しくて。

 朝が来るのが楽しみだ。

 朝というより、夕方か。

 ひょいっと岩崎様が覗くことが多いから――。

 でも、逆に、それで気づいてしまった。

 自分が、やっぱり、ちょっとじゃなくて、かなり寂しく思っていたことを。

 家族がいなくなってしまった、今のこの暮らしを。

 でも、岩崎様、外務省にお勤めだったとは。

 ……まあ、お兄様と出くわすことはないでしょうけど。

 今は出会わない方がいいだろうし、と思いながら、珠子はまたあの天気の絵を見た。

 でも、雨でもいいな。

 岩崎様には雨も似合いそう。

 ちょうど客が本を買いに帳場に来たので、ふふ、と笑いながら、珠子は新聞を片付けた。

 


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