「明治大正ロマンス ~知らない間に旦那様が変わっていました~」
「結婚話が進んでるんだろう?
 何処かのご令嬢との」

「……まだ、相手は定まっていないようなんだが」

 父、おじ、祖父で意見が割れているらしい。

 だが、まあ、あの上田の娘はないかな、と思う。

 珠子を池田から都合してもらったことを知って、嫌悪の表情を浮かべていたらしいから。

 池田は無邪気に笑って言う。

「それだけの金額を払ってるんだ。
 いろんな手練手管を教えてもらえたんじゃないか?」

 そんな幻の手練手管より、晃太郎には気になることがあった。

 結構な金額を渡しているのか。

 だが、珠子は実に質素に暮らしていて。

 贅沢といえば、毎朝、牛乳を飲んでいるくらい。

 それだって、今どき、そこまでの金額ではない。

 あとは新聞をとっているくらいか――。

 晃太郎は、ハッとした。

「どうした?」
< 62 / 256 >

この作品をシェア

pagetop