「明治大正ロマンス ~知らない間に旦那様が変わっていました~」
「そうですか、手練手管を――」
池田との会話を聞いた珠子は帳場で難しい顔をする。
立ち上がり言った。
「待ってください。
この店の何処かに、その手の本もあったかもしれません。
そうだ。
最新式ではないかもしれませんが、確か、江戸の――」
いや、いいからいいから、と晃太郎は慌てて珠子を止める。
だが、珠子は、
「調べればきっと、ありますよっ。
本から得られる知識は無限大ですっ」
と誇らしげに古い本の並ぶ棚を手で示す。
なんか可愛いな。
いや、とんでもない本を探そうとしてるんだが、と晃太郎が思ったとき、珠子が言った。
「それにしても、私にもっともお金を払っていらっしゃったとは。
何故なんでしょうね?」