「明治大正ロマンス ~知らない間に旦那様が変わっていました~」
「さあ?
 金額を決めたのは、執事の黒崎さんだよな」

「でも、そのもっとも金のかかっている女をご友人にお貸しするなんて。
 優しいんですね、池田様」
と微笑む珠子に、

 あいつが先に珠子と会ってなくてよかった……と晃太郎は思っていた。

 それにしても、珠子は金をなにに使っているのか。

 金に余裕はない風だったが。

 まあ、所詮、こいつは元お嬢様。

 金銭感覚おかしそうだからな、と晃太郎は思う。

 ……だが、それにしても、気になる。

 訊くまいかと思ったが、訊いてみた。

「池田からもらった金はなにに使ってるんだ?」

 特に贅沢もしていないようだが、と言うと、珠子は、
「池田様からのお金は全部、必要経費に消えています」
と言う。

 ……どんな必要経費だ。

 もしかして、この店は赤字なのだろうか。
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