「明治大正ロマンス ~知らない間に旦那様が変わっていました~」
 


「なるほど。
 その古書店の女がなにに大金を使っているのかわからないのか」

 晃太郎は朝、また道で待ち構えていた高平と珠子の話になる。

「訊いてみればいいじゃないか」

 そう高平は言うが。

「……なにか、とんでもない答えが帰ってきたらと思うと、恐ろしくて」
と青ざめて晃太郎は言う。

 なにか、とんでもない答えが返ってきそうな娘だからだ。

「俺だったら、そうだなあ」
と高平は夢見るような目つきで、大金の使い道を考えているようだった。

「やっぱ、あれかな。
 本を買うかな」

「本?」

「普段買えないような、すごい本を買う」

「意外に堅実だな……」

 なに言ってるんだ、当たり前だろうという調子で高平は言う。
< 67 / 256 >

この作品をシェア

pagetop