「明治大正ロマンス ~知らない間に旦那様が変わっていました~」
「なるほど。
その古書店の女がなにに大金を使っているのかわからないのか」
晃太郎は朝、また道で待ち構えていた高平と珠子の話になる。
「訊いてみればいいじゃないか」
そう高平は言うが。
「……なにか、とんでもない答えが帰ってきたらと思うと、恐ろしくて」
と青ざめて晃太郎は言う。
なにか、とんでもない答えが返ってきそうな娘だからだ。
「俺だったら、そうだなあ」
と高平は夢見るような目つきで、大金の使い道を考えているようだった。
「やっぱ、あれかな。
本を買うかな」
「本?」
「普段買えないような、すごい本を買う」
「意外に堅実だな……」
なに言ってるんだ、当たり前だろうという調子で高平は言う。