「明治大正ロマンス ~知らない間に旦那様が変わっていました~」



 その頃、晃太郎は悪夢を見ていた。

 珠子が上野動物園で見たダチョウに乗って逃げてしまう夢だ。

 追いかけるのだが、すごく速くて捕まらない。

 最新の電気自動車を池田が貸してくれるが、遅くて追いかけられない。

 それで、蒸気機関車に乗って、並走しているダチョウと珠子を追いかける一代スペクタクルロマン!

 な感じの夢を見て、どっと疲れた。

 洗面所に行き、獅子印ライオン歯磨と歯楊枝で歯を磨く。

 歯磨き粉はまだ粉状で袋に入っていた。

 ガラス鏡を見ながら晃太郎は思う。

 珠子が逃げてしまう夢を見たのは、自分がハッキリ彼女に言えなかったからだろうか。
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