「明治大正ロマンス ~知らない間に旦那様が変わっていました~」
だが、ここで急速に二人の仲を阻み始めたものがいた。
高平だ。
今まで協力的だったのに。
珠子が自分の妹だとわかった途端、この過保護な兄は、妹を柵の中に囲い込みはじめた。
「二人で大阪なんて駄目に決まってるだろ。
泊まりになるのに」
おい、高平……。
お前が行ってこいと言ったんだと朝の道を歩きながら思う晃太郎に、
「あまり夜遅くも訪ねていくなよ。
あ、小太郎んちからまだ牛乳買ってるらしいな。
あいつに見張らせよう」
とまで言ってくる。
「……そんな風にしていて、珠子が行き遅れてから後悔しても遅いんだぞ」
思わず、そう脅してしまうと、
「わかってるよっ。
でも、やっと再会できた家族なんだっ。
なのに、もうあっさり他の男と家族になりましたとか寂しいだろっ」
と泣き落としてくる。
いや……、今のままでは家族にはなれないのだが。