「明治大正ロマンス ~知らない間に旦那様が変わっていました~」
 というか、うちは侯爵、珠子の家は確か、公爵家。

 まずくないか?
 零落したとはいえ、うちの方が格下だし。

 そこでふと気づいた。

 何故、執事の黒崎が珠子を金で囲い込んだのか。

 池田の家は飛ぶ鳥を落とす勢いの新興勢力ではあるが、身分的には高くない。

 公爵家の血を引く珠子をあわよくば、池田の嫁にしたかったのでは……。

 もちろん、他からもいい条件の見合いが降るように来ているだろうから、いざというときのための珠子だったのだろう。

 それなら、妾としての役目も果たさないのに大金を払い続けていたのも納得が行く。

 そういえば、珠子は黒崎のことを最初、執事じゃなくて、家令と言っていた。

 よく考えれば、それが珠子が華族の出である証拠でもあったのに気づかなかったな、と晃太郎は思う。

 


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