「明治大正ロマンス ~知らない間に旦那様が変わっていました~」
「大学教授、若いじゃないか」
みんなが去ったあと、珠子が薬研でゴリゴリして珈琲を淹れていると、晃太郎が帳場の奥の間から、そう言ってきた。
「そうですねえ。
お若いのに、すごいですよね。
……お年だなんて言いましたっけ?」
「……いや」
と言う晃太郎の声だけが聞こえてくる。
その子どもがちょっと不機嫌、みたいな口調に笑ってしまった。
珠子は台所から、お盆を手に晃太郎のいる部屋に戻る。
「いつもはミルクに少し珈琲を入れるんですが。
今日は、晃太郎様がいらっしゃるので、珈琲にしてみました。
ミルクもあるので、お使いください」
牛乳は一瓶しか買っていないので、いつもとは逆に、珈琲にミルクを入れる感じになるのだ。