「明治大正ロマンス ~知らない間に旦那様が変わっていました~」
「いやいや、俺はいい。
 お前の大事な牛乳だろう」

 珠子は笑い、晃太郎の前にお盆ごと珈琲を出す。

「いえいえ。
 毎朝、牛乳を飲むのは、家族のことを思い出すためにやっているだけなので。

 別に牛乳が好きというわけでは――。

 ……それに、そんなことしなくとも、今では、お兄様もたまにいらっしゃいますしね。

 相変わらず、入り口からは入ってこられないんですけど」
と言うと、晃太郎は眉をひそめ、

「往生際の悪い奴だな」
と言う。

「……だが、まあ、あいつのそういう義理堅いところは嫌いじゃない」

「晃太郎様のような、良いお友だちが兄の側にいてくださって、ホッとしました。

 母はいつも怯えていましたから。
 兄が父のようになってしまうんじゃないかと」

「それで引き離したのか……」

 まあ、それもあるんじゃないですかね、と珠子は言う。
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