望みゼロな憧れ騎士団長様に「今夜は帰りたくない」と、良くわからない流れで言ってしまった口下手令嬢に溺愛ブーストがかかってから

19 事実

「……シャーロット。後ろに下がって」

 ハビエル様の落ち着いた声が聞こえたと思ったら、私の視界には彼の大きな黒い背中があった。

 指示通りに何歩か後ろへと下がり、明らかに私を狙っていて追い掛けようとした男の一人は、ハビエル様の一太刀で簡単に行く手を阻まれた。

 わ……凄い。

 私が何年か剣術を習得しようとしたからわかることだけれど、ハビエル様は剣に関しては天才と言って過言ではなかった。

 遊び半分の訓練ではなくて、こうして実戦で近くで見ると、それが良く理解出来る。

 努力だけでは辿り付けないほどに、非常に高い位置に彼は居た。

 複数人を相手取りながらも、焦りは見えずにゆったりした構え。鮮やかな剣筋に無駄のない動き、私が剣術を知っているからこそ、それが出来ることがどれだけ凄いことかよくわかるのだ。

 双方真剣での戦いなのだから、緊張感があって然るべきなのに、まったく気にしない様子が出来るということは、絶対的な自信を持っているということだ。

 ハビエル様は血を流さずに峰打ちをして、彼らを一人一人、地に伏させていった。

 か・か・かっ……格好良い~~~~~!!!!!

 ハビエル・クラレット様。王立騎士団の団長だった……! そうだった。

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