望みゼロな憧れ騎士団長様に「今夜は帰りたくない」と、良くわからない流れで言ってしまった口下手令嬢に溺愛ブーストがかかってから
「であれば、ハビエルがシャーロットと結婚して責任を取れと世間に思われて然るべきだろうね。そうなれば、大好きな彼の世間的評価は下がり、出会いを邪魔をしている『誰か』は、永遠に彼を手に入れる機会を失う。だから、シャーロットがハビエルを諦めるなら、何もなかった事になるさ……それこそ、不気味なくらいにね」

「そう言うことね……私も理解出来たわ」

 もし、一緒に住んでいた私がハビエル様の求婚を断って、諦めたとする。そうすれば、無罪放免で何もなかった事になるだろうという流れは理解することが出来た。

 マチルダ様はハビエル様が『責任を取らない男』と後ろ指を刺されてしまうなんて、絶対に嫌な筈だもの。

 疑問に答えた涼しい表情のエリアスが応接室を出ていこうとしたその時、私はハッと重要な事を思い出した。

「……エリアス。私、異性には口下手で……ハビエル様に一緒に住んでも、まともに話せないと思うんだけど……?」

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