ずっと隣にいてくれませんか。
はじまりの体育祭

輝く人

私、光岡愛菜(みつおかあいな)の心臓は、自分でも信じられないくらい激しく波打っていた。

目線の先にいるのは赤団団長、村上泰基(むらかみたいき)

「おーい、皆もっと声出せ!」

村上先輩の声は良くとおるのに柔らかい。そして彼が笑顔になると自然とその場が明るくなる。

体育祭の練習期間から本番の今日までずっと先輩のことを目で追いかけてしまっていた。

___優しくて面白くて盛り上げ上手。好きなところを上げていったらきりがない。



「…菜、愛菜!ちょっと大丈夫?さっきからボケっとしちゃって」

「わっっ!…なんだ、智花か。びっくりさせないでよ」


気づくと隣には小学校からの親友、石田智花(いしだともか)が座っていた。

「もしかしてアンタ、まーた団長さんのこと見てたの?ホントに好きだねえ~」

「ちがっっ!そんなんじゃないし!」

「ハイハイあたしが何年愛菜と一緒にいると思ってんの。全部バレバレだからね?」

ニヤニヤしながら私を見つめる智花。どうやら親友に嘘は無理なようだ。

「…だってかっこいいんだもん」

「ふ~ん、あれが愛菜の好みか」

値踏みするように智花は先輩のほうを見つめる。

「あたしはもっとイケメンがいいけど」

「この面食い。それに智花にはもう彼氏がいるでしょ。」




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