ずっと隣にいてくれませんか。
智花にはすでに他校のイケメン彼氏がいる。なんでも一人で歩いているときにナンパされたらしい。

呆れたように私が言うと、


「ごめんごめん。…あ、団長さんもうすぐリレー出るみたいよ」

「うそっ!!」

智花の言葉に急いで先輩の姿を探す。

目を凝らして探しているとグラウンドの隅でストレッチをしている先輩がいた。


頑張ってくださいって言いに行きたいけど、そんな勇気私にはない。

「声、かけてくればいいのに」

私の心を見透かしたように智花が言ってくる。

「そりゃあ私だって智花みたいな美人だったらよかったけど私なんてそこら辺のモブだもん」

智花は切れ長の目に筋の通った鼻をもついわゆるクールビューティーだ。
一方の私は特に目立った特徴もないどこにでもいるような顔。一度も自分のことをかわいいなんて思ったことがない。

私の言葉を受けて、智花は大きなため息を吐く。

「アンタね、恋愛において『私なんて』は禁止!いったもん勝ちなんだから!分かった?」

「…ハイ、わかりました。」

「それでよろしい。ま、今はそんなことより団長応援しないとね」

智花の言葉に再びグラウンドに顔を向ける。

いつの間にかリレーも終盤でアンカーを走る先輩も準備を始めていた。

肝心の順位は青団、白団、赤団で赤は一番最後だ。

「がんばれ、がんばって…、!」

自然と応援の声が出ていく。

いよいよ先輩にバトンが渡る。バトンを受け取ると颯爽とコースを駆け抜けていく。

どんどん白との差が縮まり、追い抜いた先輩。

先頭を走る青団にも近づいていく。

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