囚われの聖女は俺様騎士団長に寵愛される

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「報告は以上です。皇帝陛下」

 王座の間。
 アイリスについての報告のため、皇居を訪れていた。

「うむ。それでアイリス・ブランドンは、その日を境に全く力が使えなくなってしまったということだな」

「はい」

 アイリスはあの日以降、治癒力が使えなくなった。
 いや、正確に言えば力が弱まってしまった。

 容姿が変わるほどの力の発現が原因なのではないかと思う。

「そこで皇帝陛下、私に提案があります」

「なんだ?」

 陛下はヒゲを整えながら、珍しいなという風に興味を抱いているようだった。

「彼女の治癒力が再度現れる可能性は大いにあります。そのため、彼女を狙ってくる奴等も多いでしょう。それは帝国にとっても敵。逆に彼女が居れば、こちらが有利に働くこともあります。聖女の力は傷を癒すだけではなく、祈りにより人々の心を救います。彼女を守るのは、私に任せてもらえませんか?」

「ほう……」

 陛下は「任せるとは……?」確信的な部分に触れてきた。

「アイリス・ブランドンと結婚をさせてください。この国で一番戦力があるのは私です。夫となり、彼女を守りながら力を引き出し、二人で人々を救います」

 皇帝は話を最後まで聞き
「承認をしよう。聖女は貴重な存在だ。また力が発現できるよう努めてくれ。国にとっても有益な人物になるだろう」
 そう答えた。

「ありがとうございます」

 俺が頭を下げると
「もしも私がダメだと言ったら、どうしていた?そちらを考える方が怖いわ」  
 ハハハっと声を出して笑った。

 皇帝の様子につられて口角が上がってしまったが、もしも許可が下りなかった時、その時はーー。




「レオン!おかえりなさい!」

 皇居へ向かった後、帰宅をするとアイリスが笑顔で出迎えてくれた。

「ただいま」

 彼女を抱きしめ、頬にキスをする。
 まさか自分にこのような大切な存在ができるとは思わなかった。

「陛下は理解してくださった。今度二人で挨拶に行こうか?」

 アイリスには事前に全て説明をしていた。

「もしも力が戻ったら、人々のために使いたい」そう言ってくれたのは彼女だった。

「はい」

 彼女は最初に出逢った時と全く違う表情、頬には赤みがさし、目には生気が宿っている。

「これからも俺についてきてくれるか?」

「もちろんです。誓います」

 彼女は迷いもなく、そう笑顔で答えてくれた。

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