制服世代
はじめて
いつもは、誰かと一緒に帰ることが多いのだが、今日は珍しく部活が休みで、ひとりの帰り道。

9月の放課後とはいえ、まだまだ蒸し暑いので、アイスを買い食いすることにした。

真ん中で二つに割って、チューチュー吸うタイプのものだ。

公園のブランコに腰掛け、それを食べようとしていたら、まだ小さい男の子が私をじっと見ている。

幼児か、小学校低学年ぐらいだろうか。

「何見てんの?欲しいわけ?」

私が尋ねると、男の子は頷いた。

「しょうがないなぁ⋯⋯ホラ」

半分あげると、男の子はニッコリと笑顔を見せた。

「イチロー!何してるんだよ!」

少し離れたところからそんな声がして、私はそちらを見遣る。

男の子を呼ぶ声の主は、高峰だった。

高峰は、少し戸惑いがちに、

「そのアイス、奥居さんがわけてくれたの?」

「ん?そうだよ」

「そっか。イチロー。お姉ちゃんに、ちゃんとありがとう言ったか?」
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