制服世代
ずっと、暗い部屋で小さなスタンドだけつけてあれこれ考えていた。

「あぁ⋯⋯志望校どうしようかって」

「げっ、英玲奈が勉強だの志望校だの、最近おかしいぞ」

「だって、英語の授業でbe動詞から習うようなFラン大学に行って、四年間穀潰しになるより、さっさと就職したほうがいいし」

「お前⋯⋯それは俺に対しての嫌味か?」

「いや?真面目に考えてるの」

「とにかく、夕飯できたっていうからさっさとしろよ」

いつもと変わらぬ平和な食卓で、

「英玲奈、珍しくおとなしいのね」

母ちゃんが言う。

「え?だって、母ちゃんが高校のこと考えろって言ったんじゃん」

「まぁ、そうね⋯⋯。何か思いついたの?」

「うーん⋯⋯普通科より専門科のほうがいいかな、ってことぐらい」

「俺みたいに、手に職つけたらどうだ?」

そう言う父ちゃんは、宮大工としてかなりバリバリ稼いでいる。
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