クールな上司の〝かわいい〟秘密 ――恋が苦手なふたりは互いの気持ちに気づけない
「結木くんの恋人が私だと思ってた、ということですかね?」

 不動の問いに、智田は小さく頷く。すると、なぜか不動は顔をもぞもぞと動かした。

 きっと不快に思ったのだろう。智田は口元を隠していた手を上にスライドさせ、そのまま頭を抱えるようにしてため息をこぼした。

「本当にすまない。不動の前でドジばかりしてしまう自分を諫めてきたのに、またこんなドジをしてしまうなんてな」

 情けない。完全に自分の早とちりだ。

「いつもそうなんだ。好きな人を前にすると、冷静でいられずドジをしてしまう。かっこよくいたいのにな」

 もう、男としては完全に幻滅されだだろう。半ば自暴自棄になりながら、智田は頭を抱えていた手で前髪を掻き上げ、苦笑いを浮かべる。

 だがすぐに、智田は目を見開いた。どくり、どくりと、心臓がせわしなくなる。

 目の前の不動が、目を見開いていたのだ。それも、頬を真っ赤に染めながら。

「あ、あの、それは……。智田SVは、私のことを――」

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