クールな上司の〝かわいい〟秘密 ――恋が苦手なふたりは互いの気持ちに気づけない
「でも、智田SVも恋愛に興味はなかったのでは? そうおっしゃってましたよね、バーベキューの時に。だから私、この気持ちは抑えなきゃってずっと――」

 言いながら大胆な発言をしていることに気づき、再び急いで口を噤んだ。こういう会話をするのは、苦手だ。
 だが智田SVは私の行動に反応する様子はなく、しばらく悩んだ後に口を開く。

「思い出した。あれは、〝恋愛の話に興味はない〟という意味で言ったんだ。そもそも、俺はあの時はもう――」

 智田SVは言いかけて、口を噤んでしまう。
 その先の言葉はなんとなく見当がついた。どうやら彼も、私と同じらしい。

 つい笑みをこぼしてしまうと、智田SVも優しい吐息をこぼす。

「もしかしたら、俺たちはずっと遠回りをしていたのかもしれないな」

 智田SVのその言葉は、〝もう遠回りはしなくていい〟と私に伝えてくれるよう。

「そうみたいですね」

 そう答えると、智田SVはどこか嬉しそうに頬を綻ばせた。きっと私も、同じような顔をしているに違いない。

 私の店舗がモデル店舗として、新たな一歩を踏み出したこの日。私と智田SVの新たな関係もまた、始まったのだった。

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