クールな上司の〝かわいい〟秘密 ――恋が苦手なふたりは互いの気持ちに気づけない

 モデル店舗としてのスタートを切ってから、五日が過ぎた。
 今日は日曜日。平日に比べて顧客がドンと増える週末は、モデル店舗としてアピールする絶好の機会だ。

 普段は日曜は公休の私だが、今週は出勤している。客層や売場の様子をモニタリングしたいし、課題があれば早期に解決したい。

 モデル店舗始動後、初めての週末。昨日に引き続き気合が入るのは、店長としての責務からでもあるが、昨夜智田SVから嬉しいメールをもらったからでもある。

【平日の売上、顧客満足度のアンケートは上々だ。初動評価は上位ランクだろうと、本部からメッセージが届いている。週末もよろしく頼む】

 そんな業務メールの後に、続けてもう一通。

【こっちはプライベートの話だ。明日の終業後、食事に行かないか? 月曜、休みだろう】

(つまり、今日の終業後、私は智田SVとお泊り……) 
 なんて期待を胸に寄せるが、今日も仕事をきちんとこなさなければ夜は来ない。モデル店舗として、まだスタートしたばかりだ。


 夕方になると、顧客の数も落ち着いてくる。残り少なくなってきたノベルティをスタッフとともに店頭で配っていると、懐かしい顔が店舗にやってきた。

「不動さん、久しぶり!」

 小さな男の子と手を繋ぎ、こちらにやって来た女性。男の子の反対の手は、男性と繋がれている。

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