クールな上司の〝かわいい〟秘密 ――恋が苦手なふたりは互いの気持ちに気づけない

 本部に行きたいのか、店長を続けたいのか。その迷いは、しばらく経っても答えが出なかった。

 売場改変したあの日から、二週間が経つ。改変後の売場にスタッフたちも慣れ、店頭には子どもたちの姿も目立ち始めるようになった。

 壁面に並んだキッズのジャケットやコートを手に取り、親と吟味する幼い子どもたち。人気キャラクターとのコラボ商品に目を輝かせ、指差す子どももいる。狙い通りに、親子でのリンクコーデだろうと思われる商品を籠に入れている家族も見かけた。

 それはそれで嬉しい。私がこの店舗の店長として提案したことが、こうして現実のものとなっているのだから。
 だが、私がしたかったことはこれで終わりじゃない。

(これは本部へ行くための、夢への第一歩だったはず。このままずっと店長だなんて、やっぱり違うよね)

 売場を見ていると、余計にそう思う。私はプレブロ全店を、こんなふうに素敵な買い物体験の場にしたいのだ。

 本部に行きたい。だけど、店長としてこの店を離れたくもない。

(本当の私は、どっちを選びたいんだろう)

 ぐるぐると頭の中で考えても、なかなか答えが出ない。私はこのまま、どこへ向かうのだろう。

< 172 / 206 >

この作品をシェア

pagetop