クールな上司の〝かわいい〟秘密 ――恋が苦手なふたりは互いの気持ちに気づけない
 彼女を前にすると、気持ちが制御できなくなる。大きく高鳴る胸では視界が狭まり、他のことを考えられなくなる。それが、智田がドジをしてしまう原因だ。

 彼女に『好きだ』と言おうものなら、その前にドジをしてしまうだろう。それで、今度こそ本当に呆れられてしまったら――。

 いいや、と智田はかぶりを振る。失敗を恐れている場合ではない。里咲を、笑顔にさせたい。

 尻込みしてしまうなら、自分を追い込めばいい。告白せざるをえないシチュエーションを、自分で作ってしまえばいい。

「なあ晃大、教えて欲しいことがあるんだが――」

 智田は意を決して教えを乞う。今までたくさんのデートを重ねてきた彼に聞くのが一番だと思ったのだ。

「告白をするのに、最高のシチュエーションを教えてくれないか?」

 すると茅野はきょとんとする。だが、次の瞬間には笑みを浮かべて言った。

「ベタなのが一番よかったりするんだよな。高級レストラン、夜景、遊園地の観覧車、あとは――」

 茅野は次々と案を出してくれる。それを、智田は必死に頭にメモした。同時に、頭の中でプランを組み立てる。
 彼女との幸せな未来が、ずっと続くようにと願いながら。

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