クールな上司の〝かわいい〟秘密 ――恋が苦手なふたりは互いの気持ちに気づけない
「――ああ、分かった。愛してるよ、おやすみ」

 嬉しそうな顔をした茅野の口からさらっと飛び出てきた言葉に、智田は瞠目した。
 電話を切った茅野が、そんな智田に気づいたらしい。こちらを見て、不思議そうな顔をする。

「仲がいいんだな」
「当たり前だろ、うちの嫁と娘は世界一かわいいんだ」

 当然のようにそう言う茅野に、智田ははっとした。里咲は、自分からの告白を待っているのではなないか、と気づいたのだ。

 彼女に好意が知られてしまったのは、自分のドジがあったからだ。智田はその後、きちんと告白をしていない。彼女には『好きだ』と伝えてもらったのに。

 彼女が相談を後日にして欲しいと言ったのは、職場でする話ではないうえに、自分から愛の言葉を催促するのは違うと考えたから。そう考えると、納得がいく。

「俺も、きちんと気持ちを伝えるべきだな」

 そこまで思い至った智田だったが、不安が胸をよぎった。

(そこでまた、ドジをしてしまったらどうしよう)

< 179 / 206 >

この作品をシェア

pagetop