クールな上司の〝かわいい〟秘密 ――恋が苦手なふたりは互いの気持ちに気づけない
「すみません、私、偉そうに」

 思わず顔を伏せてしまう。
 彼の方が、圧倒的に仕事ができると分かっていたのに。先ほども、自分の至らなさを実感したばかりだ。

「いや、不動店長らしいと思った。そんな君だから、スタッフから信頼されるんだろうな」

 彼の言葉に、伏せてしまった顔を思わず上げる。目が合った瞬間、彼は私にさらりと告げた。

「不動店長とは、機会があれば一度じっくり話をしてみたい」

 思わず目を見張る。

(仕事としてだよね? 彼は私という存在を、人として知りたいだけだよね?)

 高ぶってしまった気持ちに、ついそう問う。すると、智田SVはふいっと顔を逸らしてしまった。

「別に、他意はない」

(やっぱり、そうだよね。社交辞令かもしれないし)

 なにを期待したというのか。私は落胆する気持ちにその方がいいじゃないかと言い聞かせ、冷静な笑みを浮かべて智田SVに向き直った。

「ぜひ、機会があれば」

 人として好いてくれているなら、それがいい。彼となら〝仕事は〟うまくいくという自信があるのだから。

 しばらく彼と売場作りについて話し合っていたが、インカムから聞こえる会話で売場の人手が足りないことを悟り、私は売場へ戻ることにした。
 新商品が人気アニメキャラクターとのコラボ商品だからか、今日はいつもと客層が違うらしい。

 売場改変の件はもちろん大事だが、そちらに力を入れすぎて日常の業務を疎かにしてはいけない。私はこの店舗の〝店長〟なのだ。

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