クールな上司の〝かわいい〟秘密 ――恋が苦手なふたりは互いの気持ちに気づけない
「ありがとうございます、智田SV。ですが、あまりこちらに時間を割いて頂かなくとも、私が考えますから。これはあくまで、私の提案なので」

 智田SVが親身になって考えてくれるのは嬉しいし助かる。実際、赤字の入った資料や今見せてくれた売場展開図も、提案をより具体的に考えるのに役立っている。

 だが、彼にはSVとしての仕事がある。店長の私より、忙しくて膨大な。

「……すまない」

 彼はそう言うと、視線をパソコンに戻してしまった。

 彼はいつもと変わらぬ表情をしていたが、私は内心〝しまった〟と思った。
 これでは突き放しているようだ。企画の立案を手伝ってくれたのも、本部に通してくれたのも彼だというのに。

「私がやるというのは、智田SVには他の業務もあるから負担にならないようにと――」

 言いかけたところで、彼が再びこちらを向く。

「分かっている。だが、不動店長がひとりで抱え込むことでもないだろう。不動店長にも店長としての業務があるし、この企画立案を押したのは俺なんだから」

(あ……)

 いつもの、淡々とした口調。だけど、彼の優しさがそこに滲み出ているような気がした。

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