桃果の契り 才人妃は皇太子に溺愛されて

第9章 命を宿す

それからしばらくして、私は体調を崩した。

吐き気が止まらず、食べ物を口にしてもすぐに込み上げてくる。

「ううっ……」

吐こうとしても、何も出てこない。

ただ胸の奥がむかむかするばかりだった。

「どういうことだ。」

煌は何度も私の部屋を訪れ、背を摩りながら医師を呼びつける。

「吐き気を抑える薬はないのか!」

怒声に近い声で迫るが、医師は首を横に振った。

「殿下……これは薬では止められませぬ。」

「なぜだ!」

煌の目が鋭く光る。

医師は慎重に言葉を選んだ。

「これは……病ではございません。むしろ……新しい命を宿された兆しにございます。」

その場に静寂が落ちた。

煌は私を抱き寄せ、信じられぬように囁く。

「小桃……まさか、子を……?」

私は胸に手を当て、まだ信じられずに彼の顔を見上げた。

「そんな……本当に……?」

煌の瞳には、怒りではなく、溢れんばかりの歓喜が宿っていた。
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