Pandora❄firstlove
呪われた過去
俺の初恋は、母親だった。
確か英語で初恋は、「firstLove」。
禁断なんて表現しようものなら「Pandora」なんていいんじゃないんだろうか。
「ねえ、司」
顔を上げ、美しく彫られた母親の顔を覗く。
「貴方は、私の特別な王子様なのよ?」
「王子様………?どうして?」
物心ついた頃の古い古い、悍ましい記憶の破片。
セピア色した映像が流れ出てくるものだから、記憶は俺をどうしたいのだろう。
こんな事を思い出したとしても、もう意味はないのに。
「こうして「毎晩」同じベッドに入って寝るのを共にするのなんて、他の家ではしないのよ?」
母親の顔は美しい天使にも見間違えて。
大きくてつぶらな瞳が入っていた瞼は、キリリとした筆で描いたような美しい湾曲を、描いてた。
「ほら、もっと近寄って」
差し出されたてが、後ろの背骨をなぞっていく。
「………王子様はお父さんじゃないの?」
悶えながらも、その様子を母親は楽しんで。
「お父さんは、もうこの世界には居ないのよ。貴方のお父さんも、私のお父さんも」
当時の俺はその発言を聞いて、お父さんは死んだものだと思い込んでいた。
「ねぇ?」
「なあに、司?」
「ママの王子様になったら、どんな事が出来るの?」
真っ赤な透明な真っ白で白桃のような肌をゼーリーの様に纏う、リジュネ。
それををパサリと脱ぎ捨てた。
皮肉にも冗談なしに、美しかった。