Pandora❄firstlove
「王子様になったら、ママともっと触れ合うことができるのよ?」
美し魔女は顔を近づけ、確かに言ったんだ。
「ふ・か・くね?」
「僕、ママの事ーーー大好き」
そう口走っていた事を思い出して。
俺は目の前にいるカウンセラー、松山先生に差し出されたコップ一杯の水を飲み干した。
「やはり、思い出すか?」
「そりゃもう……、仕事中にもきつい時がある」
「特にどんな時?」
「女性の年配の人と話す時」
「そりゃ、辛いな。他には?」
「ちょうど春先だな。母親が別の既婚者不倫して、初めて縁を切った時期がそれだったから」
先生はメモを取っている。
対策をねっているのだろう。
ここは精神病院の一角のカウンセラー室。
無機質な白い壁と、カーテンが柔らかな風を向かい入れる。
どうしても俺は、母親との思い出を思い出したくもないのに。
フラッシュバックに苦しめられている。
もうかれこれ、あの期間から5年以上は経っているはず。(母親からの性的暴行から)
立ち直れないイライラが募り、俺は全身を擦る。
こうしないと、落ち着かない。
「生徒は?フラッシュバックすることはないか?」
「まさか、相手は子供だ。そんな目で見ないよ」
松山先生は「そうか」と卵白な反応。
「辛かったら言わなくてもいいが、情報を集めたほうが対策は取れる。まだ情報を詳しく話続けたほうがいいか?整理したほうがいいか?」
「そうだなーーーそうしてもらったほうが、嬉しい」
「なら聞く。母親に不倫された事と、性的暴行どちらがフラッシュバックが強い?」
「うーん……」
どちらとも、言い難い。
どちらも、俺にとっては許されない行為であることは間違いない。
そして、性癖が歪んでしまったのか、今でも女性を愛する事ができない。
だけどーーー。
「不倫された事が辛い」